全国校章大学めぐり

2009年5月
広島大学高等教育研究開発センター 第11代センター長 山本 眞一

この度、岩手大学評価室大川一毅先生より、全国の大学及び旧制高校の校章に焦点を当てた、非常に興味深いお話をご提供頂きましたので、ここに紹介致します。大学の校章には、各大学の理念や地域性が盛り込まれており、一つ一つ丁寧にみていくと非常に奥深いものがあります。
大川先生のご厚意に甘えて、今後もシリーズ化してご紹介するよう企画しておりますので、どうぞお楽しみに。

 

はじめに

岩手大学 評価室 大川 一毅

大学ブランドづくりに、新しいロゴマークやシンボルマークをつくる動きが盛んです。
「オっ!いいね、これは!」もあれば、「・・・、なんだかなあ・・」もあって、見ていて楽しいものです。

「大学の現状と課題」をテーマとした1年生対象の「教養ゼミ」を担当した時のこと。あるグループのテーマが「大学のロゴマーク戦略」でした。

彼ら彼女らから言わせれば、昨今の大学ロゴは「平成大合併後の自治体マークみたい」だの、「製薬会社のロゴと同じ」だそうで、どうもお気に召さないようで・・。
結論の一つが「いままでの校章をなぜ大事にしないのか。『いい大学』は校章を変えていない」。
「『いい大学』だから、校章もよく見えるのか」。それとも「いい校章(愛着のある校章)が大学をよくするのか」。
校章をめぐって、あれこれ議論も弾みました。

そういえば、昨今の「ユニバーシティ・アイデンティティ(UI)」の時代にあって、大学の「クラッシックな校章」をめっきり見かけなくなりました。
「校章バッチ」を置く生協や購買部も少なくなりました。
大学の「校章」には、大学の理念やミッション、地域の風土や歴史など、様々な意匠が凝縮されています。
「大学ロゴ」に後を託して急速に姿を消しつつある今だから、各大学の「校章」の由来を探り、これを記憶にとどめておくこともちょっと意味あることではないでしょうか。

校章研究家でも、デザインのプロでもない私ですが、大学校章に関わる四方山話をしながら、ご一緒に大学めぐりをいたしましょう。
大学関係者や学生さんとの「話の小ネタ」に。学会やオープンキャンパスなど大学訪問のご参考に。「自校教育」授業での「うんちく」に。

学術的な話になりませんことは、なにとぞご容赦! 

全国校章大学めぐり
目次

第1話 「『柏葉』は尚武と繁栄のシンボル」 第2話 「『銀杏(いちょう)』と大学はベストマッチ」
第3話 「かざす桜は学びのしるべ」 第4話 「桐と鳳凰」
第5話 「殿様の御家紋」 第6話 「秀峰、人を育つ」
第7話 「きらめく星に理想を仰ぐ」 第8話 「マーキュリー(ヘルメス)の翼に乗って」
第9話 「希望の海に船いだせ」 第10話 「わが探究の真・善・美」
第11話 「地域栄えの願いを託し」 第12話 「由来を知れば、なるほどねえ!」
第13話 「しるし、めでたき松・竹・梅」 第14話 「強く、優しく。百合の花」