センター長の挨拶 

高等教育研究開発センター長  小林 信一

今日、大学は世界規模で大変革の時代に突入しています。科学技術も同様に、大変革の時代を迎えています。大学も科学技術も社会の厳しい目差しにさらされ、ともに、社会に対して開かれていること、社会に対する責任を果たすこと、社会の一員として期待に応えることが求められています。「責任ある大学」「責任ある研究」が大学の新しい指導原理となりつつあります。さらに「持続可能な開発のための教育」(ESD: Education for Sustainable Development)や「持続可能な開発目標」(SDGs: Sustainable Development Goals)といった国際的な目標と大学の活動が結びつけられるようになりました。

このような現実に、高等教育研究は後れを取っていると言わざるをえません。高等教育研究分野の研究センターとして日本でもっとも長い歴史を有し、内外にネットワークを形成してきた本センターは、高等教育研究の閉塞感を打破し、大学をめぐる変化の本質は何か、大学はどこに向かうべきか、科学技術の担い手として大学が果たすべき役割は何か等、その本質に改めて立ち向かいます。そのために、内向きになりがちな高等教育研究を脱し、開かれた高等教育研究を目指します。高等教育研究の初期にはあった多様な学問分野との協働や、大学のガバナンスや運営、政策、社会など学内外の多様なステークホルダーとの関係を深化させ、現実に即した基礎的研究と基礎的研究に裏付けられた政策科学的研究・実践的研究をともに重視します。それを通じて研究と実践を架橋し、研究者と実務家を架橋するセンターになることを目指します。

こうした課題に応えるためには、私たちの研究活動が大学内外に開かれたものになる必要があります。これを、単なる理念ではなく、目に見える具体的な取り組みとしていくために、センター外部との連携を担うリエゾンセンターをテーマごとに機動的に設置し、センターの姿勢を示すとともに、本センターのリソースを活用し、学内外との協働・共創を進めます。また、こうした活動を支える基盤として、高等教育研究に関する研究資源の整備を進めます。従来は、高等教育研究に関する文献・資料を高等教育研究コミュニティの利用に供する共同利用資源として整備してきました。今後はデータバンク、研究方法・データ分析手法の開発・アーカイブ構築、映像アーカイブ構築も含めた総合的な研究資源の整備を進め、高等教育研究資源のナショナルセンターとしての役割を果たしていくよう努めます。

(2019.4.23)