【情報提供者:一般財団法人総合教育研究財団(Educational Research Foundation:ERF)】
一般財団法人総合教育研究財団(Educational Research Foundation:ERF)は、高等教育の国際化、AIと高等教育の未来、生涯学習、大学の使命・役割などを主要な研究領域として、国内外の高等教育政策、大学の教育実践、研究動向等に関する調査・分析を行っています。
その成果の一部を、ERFウェブサイトの**「知見・論考」**として公開しています。
近年、高等教育を取り巻く環境は大きく変化しています。とりわけ生成AIの急速な発展は、大学に対して、単なるAI利用ルールの策定だけではなく、「大学で何を学ぶのか」「何をもって学習成果とするのか」「Assessment(学習評価)はどうあるべきか」「大学そのものは社会においてどのような役割を担うのか」といった、より根本的な問いを突きつけています。
ERFでは、こうした問題について、海外の大学、政府、国際機関、研究者等が発表する一次資料を重視しながら、日本の大学関係者にとって参考となる形で紹介・分析しています。
UCLロナルド・バーネット教授基調講演録
現在、ERFウェブサイトでは、英国を代表する高等教育研究者の一人であるロナルド・バーネット(Ronald Barnett)UCL高等教育学名誉教授による基調講演、
「シビック、グローバル、エコロジカル――大学の協働的使命に向けて」
(Civic, Global, Ecological: Towards a Collaborative Mission for the University)
の日本語版講演録を全5回で公開しています。
この講演は、2026年6月27日に開催された日本マネジメント学会第93回全国研究大会において行われたものです。
バーネット教授は、大学が今日向き合うべき使命を、
- Civic――市民社会・地域社会に対する使命
- Global――国境を越えた世界に対する使命
- Ecological――地球、生態系、より広い生命世界に対する使命
という三つの次元から捉えます。
さらに、これらを個別に追求するだけでは十分ではなく、相互に結びつけながら、大学が複数の公共的使命を同時に引き受ける必要があると論じています。
AI、気候変動、地政学的対立、民主主義の変容など、大学を取り巻く環境が急速に変化する現在、「大学とは何のために存在するのか」を改めて考える上で示唆に富む講演です。
AI時代の大学教育をめぐる「知見・論考」
ERFではこのほか、生成AIが大学教育、Curriculum(カリキュラム)、Assessment(学習評価)、Teaching & Learning(教育・学習)にどのような変化をもたらしているのかについて、海外大学の具体的な実践や政策を継続的に調査しています。
最近の掲載記事には、例えば次のようなものがあります。
「AI時代、大学では何を学ぶべきなのか――MIT委員会が提言する学習成果・カリキュラム・学習評価の再設計」
MITが2026年8月に公表したAI利用に関する報告書をもとに、生成AIへの対応が単なる利用規制の問題を越えて、Learning Outcomes(学習成果)、Curriculum、Assessment、研究者育成の再設計に及びつつあることを分析しています。
「英国主要5大学における生成AIの教育実装――Assessment・Curriculum・Teaching Practiceはどこまで変わったか」
Oxford、UCL、King’s College London、University of Manchester、University of Edinburghを対象に、生成AIに関する「方針」だけではなく、実際の授業、Assessment、CurriculumにAIがどこまで組み込まれているのかを比較しています。
各大学の対応は一様ではなく、AI利用をAssessmentに組み込む大学、科目ごとにAI利用の可否を明示する大学、全学的なAI教育基盤を整備する大学など、異なるアプローチが現れています。
「大学の質は何で測るのか――米国Accreditation改革が示すQuality Assuranceの転換」
米国におけるAccreditation(大学認証評価)改革を手がかりとして、大学の質保証が、制度やプロセスの確認から、学生のLearning Outcomesや卒業後の成果をより重視する方向へ変化しつつあることを検討しています。
また、大学における対話、異論、知的多様性をめぐるUCLの**「Disagreeing Well」**の取組など、AI時代に大学が学生に何を身につけさせるべきかという問題についても紹介しています。
ERF「知見・論考」について
ERFの「知見・論考」では、特定のニュースを紹介するだけではなく、海外大学、政府、国際機関、研究者等が公表した資料をもとに、
「何が起きているのか」
「なぜ重要なのか」
「大学教育はどのように変わろうとしているのか」
「日本の大学にどのような示唆があるのか」
という観点から、背景と意味を整理して紹介することを目指しています。
主なテーマは、
高等教育の国際化、大学間連携、生成AIと大学教育、AssessmentとCurriculum、Quality Assurance、生涯学習、大学の社会的使命、AIと人間の未来などです。
大学教職員、高等教育研究者、大学政策・教学改革等に関わる皆様の情報収集や議論の参考としてご活用いただければ幸いです。
一般財団法人 総合教育研究財団
Educational Research Foundation(ERF)
ERFウェブサイト
https://erfoundation.jp/
「知見・論考」
https://erfoundation.jp/ja/insights-resources/
ロナルド・バーネット教授講演録
「シビック、グローバル、エコロジカル――大学の協働的使命に向けて」
https://erfoundation.jp/ja/insights-resources/ronald-barnett-civic-global-ecological/
記事のお問い合わせ先
一般財団法人総合教育研究財団
info@erfoundation.jp
