記事概要:『アジア太平洋地域高等教育学会(Higher Education Research Association, HERA 2023)』 開催報告
開催日時:2023年6月13-14日
開催場所:広島大学学士会館2階・高等教育研究開発センター(対面)/ zoom(オンライン)
報告者:黄 福涛(広島大学高等教育研究開発センター教授)
6月13日から14日にかけて、広島大学学士会館と高等教育研究開発センターで、広島大学高等教育研究開発センター主催のアジア太平洋地域高等教育学会(Higher Education Research Association, HERA 2023)が開催されました。会議のテーマは、「変化するグローバル情勢下での高等教育:課題と展望」(Higher Education in a Changing Global Landscape: Challenges and Prospects)で、会場での対面形式とオンラインのハイブリッド形式で開催されました。参加者は、アメリカ、イギリス、インドネシア、オーストラリア、韓国、台湾、中国(香港含む) 、 チリ、フィンランド、ポーランド、マレーシアおよび日本(当センター教員の大膳、黄、櫻井、金、李、及び大学院生数名を含む)から136名の発表者(うち、7か国 より会場での発表者は76名、12か国 よりオンライン発表者は60名)が出席しました。また、会場での一般参加者は7名、オンラインでの一般参加者は77名でした。
アジア太平洋地域高等教育学会(HERA)による国際会議はこれまで広島(2014)、ソウル(2014)、台湾(2015)、香港(2016)、北京(2017)、クアラルンプール(2018)、オンライン(2021・2022)での8回にわたって開催されてきました。これらの会議では、アジアおよび他の大陸の高等教育の課題や将来についての議論が行われました。特に、研究大学の育成、ガバナンスとアカデミック文化、高等教育政策と財政、高等教育の平等、エンプロイアビリティ、流動、変化するアジア高等教育、ポストコロナ時代におけるマス高等教育などが取り上げられました。
今回のHERA2023国際会議は、アジアおよび他の大陸の高等教育が直面している一般的な課題、今後直面するであろう課題、新しい文脈におけるアジアおよび他の大陸の高等教育の将来について調査することを目的とし、主にアジア諸国の研究者を招き、世界、地域、国、機関レベルでの高等教育の問題を分析し、議論しました。アジアや他の大陸の高等教育の将来を様々なレベルで正確に予測することは不可能ですが、高等教育の将来に関するいくつかのトレンドが取り扱われ、検討されることが期待されました。
この会議では、まず本学の鈴木由美子理事・副学長から開会挨拶があり、その後、本学の副学長であり弊センター長の小林信一教授が、当該センターの歴史を簡単に紹介した上で、この会議を開催することの重要性を説明しました。基調講演では、本学の名誉教授であり弊センター前センター長(第8代および10代)の有本章教授が「日本の大学における大学教授職」について、中国清華大学の文雯准教授が「大学のあり方」、韓国ソウル国立大学のJung Cheol Shin教授が「高等教育が直面する新たな課題」、香港大学のGerard Postiglione教授が「中国の高等教育におけるリベラルアーツの制度化」について述べられました。
また、香港、米国、台湾、ポーランドからの参加者による4つの特別講演があり、香港教育大学のBruce Macfarlane教授からは「アカデミック・パトロネージとジャーナル特集」、アメリカ・カリフォルニア大学のTongshan Chang教授からは「カリフォルニア大学システムオフィスにおける機関研究」、台湾淡江大学のDian-Fu Chang教授とアメリカ・サンノゼ州立大学のAngel Chang博士からは「大学生の起業」、ポーランドのポズナン大学のMarek Kwiek教授からは「変化するグローバルなアカデミック・プロフェッション定量化研究」といったテーマが取り上げられました。さらに、中国や、日本、韓国、香港、台湾、インドネシアなどの国々の研究者から「高等教育制度と政策」、「高等教育の国際化」、「高等教育のガバナンス」、「教授職」、「大学生」、「比較高等教育」、「中国の高等教育」、「台湾の高等教育」などの主題を中心に、4つのパネルセッションや20以上のパラレルセッションが設けられました。
今回の国際会議を通じて、アジアおよび他の大陸の高等教育の問題や動向、将来についての議論が行われました。グローバルな高等教育の変化や最新動向を把握し、変化する状況に応じて高等教育の様々な側面を再構築する必要性が再確認されました。
次回のHERA国際会議は、2024年春に台湾で開催される予定です。
参考:アジア太平洋地域高等教育学会(HERA)ホームページ