開催日時:2024年7月11日
開催場所:上海交通大学教育学院
報告者:黄 福涛(広島大学高等教育研究開発センター教授)
2024年7月11日、上海交通大学教育学院の招待を受け、「革新的人材育成のための新しいモデルの構築-研究型学士教育の開発と課題」というテーマで講演を行いました。
この講演では、中国及び関連国家が世界一流大学を目指す改革過程を国際比較の視点から考察し、新たな学士レベルの教育モデルである「研究型教育」の開発について重点的に検討しました。
まず、創造的人材の現実的な需要、関連国家の政策的な支援、および関連する大学の具体的な実践の3つの側面から、この研究の背景と意義を説明しました。その後、時間と国別の2つの視点から、ドイツ、旧ソ連、フランス、イギリス、アメリカの主要なカリキュラムモデルを整理し、現行の学士教育モデルの限界について簡単に分析しました。そして、現行の主要な学士教育モデルの不足を補い、より多様で国際的な学習機会を提供し、学生の創造能力と研究素養を養うためには、より立体的でシステム化された研究型教育モデルの設計が必要であると強調しました。
これを踏まえ、教育理念と目標、理論的な出発点、基本的な構造と内容、実現手段と方法、評価体系と方法の5つの側面から、新しい研究型教育モデルの基本的な特徴と核心内容を具体的に紹介しました。
上海交通大学教育学院の背景
上海交通大学は1985年に高等教育研究室を設立し、2007年に高等教育研究院、2020年に教育学院を設立しました。現在、教育学院には38名の専任教員がおり、その多くがハーバード大学、コロンビア大学、ロンドン大学教育研究所などからの卒業生です。教育学院は世界一流の教育学院を目指し、本科副専攻、教育修士、教育学修士、教育博士、教育学博士、及び二重学位の国際共同教育を含む人材育成体系を構築し、未来に向けた卓越した教師、教育管理者、教育研究者の育成に力を入れています。また、高レベルの総合大学が教師教育を行う新しいモデルを探索しています。
2024年3月現在、教育学院には本科(日本の学士教育に相当する)副専攻の学生が14名、学術型博士生が22名、学術型修士生が34名おり、専門職修士生は104名です。教育学院は学術ブランドの構築に長年取り組んでおり、2003年には世界初のグローバル大学ランキングである「Academic Ranking of World Universities (ARWU)」を開発・発表しました。また、世界一流大学研究に関する最初の中国語の著作、最初の英語の著作を出版し、世界一流大学をテーマにした初の学術文庫を編纂し、初の国際学術会議を開催しました。これにより、「世界一流大学研究」は一研究テーマから世界的なホットな研究方向に発展し、その国内外での影響力は拡大しています。
教育学院は理論研究と実践研究を結びつけ、教育部、科技部、財政部、上海市などの政府部門の教育改革と発展の意思決定を支援するため、専門家の提言、特別報告、個別相談など多様な形で研究成果を提供しています。また、上海交通大学を含む著名な研究型大学に対しても、発展戦略報告や政策改革の提案を提供しています。教育学院は「中国核心智庫榜単」に選ばれています。