小林信一センター長が柿内賢信記念賞特別賞を受賞されました

 

小林信一センター長が、2021年度 科学技術社会論・柿内賢信記念賞の特別賞を受賞されました。

詳しくは以下をご覧ください。

 

【選評】
特別賞 小林 信一 
「科学技術社会論、高等教育研究、科学技術政策研究を越境する学際研究及び実践への貢献」

小林氏は、科学技術社会論・高等教育研究・科学技術政策研究という3つの領域を越境しながら研究と実践を展開し、特に科学技術社会論の提示する批判的な視座から高等教育政策や科学技術政策の検討を行ってきました。

その活動の射程は高等教育のあり方から、デュアルユース、研究評価や大学改革の問題、科学技術政策の理念までと幅広く、多様な媒体でその成果を発表していますが、特に顕著な業績として、塚原修一氏との共著『日本の研究者養成』(玉川大学出版)、マイケル・ギボンズ(編著)『現代社会と知の創造:モード論とは何か』(丸善ライブラリー)の邦訳、そして『社会技術概論』(放送大学出版)などを挙げることができます。

しかし、小林氏の成し遂げた科学技術社会論及びその隣接領域に対する貢献は、そのような一般的に研究業績として認識されるものにとどまりません。日本において科学技術社会論研究者のコミュニティが形成される上で重要な契機となったSTS Network Japanではその黎明期に代表を務め、ブダペスト宣言を受けて発足された社会技術研究開発システム(RISTEX、現・科学技術振興機構社会技術研究開発センターの前身)が設立された際にも重要な役割を担われました。さらに、国立国会図書館調査及び立法考査局における「科学技術に関する調査プロジェクト」の立ち上げにも携わっていらっしゃいます。日本には米国や欧州に見られるような議会テクノロジーアセスメントの仕組みが存在していませんでしたが、科学技術の内容から研究の動向、関連する法制度、社会への課題までを総合的に調査し、議案・政策の検討に役立つ報告書を作成するという取り組みが恒常化されたことは、知識社会の実現に向けた大きな一歩となったと考えられます。

小林氏のこれらの取り組みは、先端的な知識生産を実現するためのエコシステムの形成とその発展に不可欠な社会的視座の醸成への重要な貢献として認めることができ、特別賞にふさわしい功績として評価をされました。