『大学教授職のエンゲージメント、社会サービス、そして知識・技術の移転』に関する国際ワークショップ 参加報告

記事概要:『大学教授職のエンゲージメント、社会サービス、そして知識・技術の移転』に関する国際ワークショップ 参加報告

開催日時:2019年8月25-27日

開催場所:ドイツ カッセル大学

報告者:黄 福涛教授

 

8月25-27日にドイツカッセル大学において、カッセル大学高等教育研究国際センター主催、国際共同研究プロジェクト「知識基盤社会における大学教授職」(Academic Profession in the Knowledge Society, APIKS)コアメンバー共催により、アメリカ、カナダ、中国、韓国、カザフスタン、台湾、トルコ、アルゼンチン、メキシコ、チリ、クロアチア、スウェーデン、スロベニア、ドイツ、フィンランド、ポルトガル、ロシア、リトアニアおよび日本(当センターの大膳教授、黄教授、キム講師)から41人の研究者とプロジェクト関係者が出席し、国際ワークショップを開催しました。

「知識社会における大学教授職(APIKS)」は、2007/2008年に実施した「大学教授職の変容に関する調査研究(CAP: Changing Academic Profession)」の追跡調査としてスタートしたもので、特に自然科学のSTEM分野(科学、テクノロジー、工学、数学)に焦点をあてた国際比較研究を目的としています。これまでフィンランド(2014)、ブラジル(2015)、韓国(2016)、日本(2017)、日本(2019)で国際ワークショップを5回にわたって開催し、共通の質問票を用いた国際共同調査には30ヵ国以上の研究チームが参加の意思を表明しています。8月の時点では、20か国の研究チームがすでに全国調査を実施しました。これに対して、今回のワークショップでは、参加国が実施したアンケート調査結果に関する比較研究を通して、近年来の大学教授職に関する社会的エンゲージメントの特徴を捉えたうえで、知識基盤社会に相応しい大学教授職を構築することをめぐる課題について議論することを目的としています。

以上の趣旨を踏まえて、三日間のワークショップでは、大学教授職の社会サービス、特にエンゲージメントに関する七つのテーマについて、各国のアンケート調査の主な発見について報告をしました。また、国際調査のデータベースの構築や、この先二年間、関係諸国において開催される予定の国際会議やプロジェクト出版計画などについても意見交換を行いました。

国際ワークショップを通じて、私たちは知識基盤社会の進展に伴って、日本国内の研究者には馴染みの薄い大学教授職の社会的エンゲージメントの多様化や最新動向を解明して、特に大学教授職を再構築する重要性も再確認しました。

今回の会議の成果として、会議に提出される七つの研究提案をStudies in Higher Educationをはじめ、国際的ジャーナルの特別号に投稿します。特別号の暫定タイトルは「大学教授職の社会的エンゲージメント」。また次回の国際会議は「大学教授職のガバナンスと管理」を中心にリトアニアにおいて開かれる予定です。

今後、我々は引き続き、主に比較的視点・国際的データベースに基づいて、海外および国内関係者と連携して知識基盤社会における大学教授職に関する研究を続けてまいります。