訪問先：　アイルランド（ダブリン）

訪問日時：　2016年9月7-9日

記事概要：　国際ワークショップ参加報告

報告者：　野村朋絵研究員

 

 

2016年9月7日～9日の三日間に亘って、アイルランドのダブリン市内において、国際ワークショップ（13th International Workshop on Higher Education Reform）（以下 HER）が開催され、RIHEからは三名の教員と一名の研究員が参加し、研究発表を行いました。今年度のHERのホスト校は、ダブリンシティー大学（Dublin City University）のHigher Education Research Centre （HERC）で、ダブリンシティー大学のインスティテュート・オブ・エデュケーション（Institute of Education）と、トリニティーカレッジ・ダブリン（Trinity College Dublin）のCentre for Academic Values in Education （CAVE） による共催での開催でした。本国際ワークショップは、来年度の2017年には広島大学のRIHEで開催されることが決定しており、今回の参加では、研究発表に加えて、来年度HER開催のための話し合いや情報収集も重要なミッションとなりました。

本国際ワークショップHERは、高等教育の政策改革とその他の主要な変化に関する様々な側面に焦点を当てることを目的に、2003年にカナダのブリティッシュコロンビア大学（University of British Columbia）のCentre for Policy Studies in Higher Educationにおいて立ち上げられました。毎年、高等教育の最新の動向を反映したメインテーマが定められ、世界的に活躍する研究者が集い、発表を行う場となっています。2016年度のワークショップは、「拡大するアクセス・変化する国家の人口統計・国際的な集団移動：高等教育改革と政策へのインプリケーション」と題され、高等教育へのアクセスは拡大しているにも関わらず、根強く残る社会人口統計学的な不平等に関連する課題が、メインテーマとして設定されました。キーノートスピーカーによる発表、パネルセッション、各部会を通して、アジア、アフリカ、欧州、南米、北米からの国際色豊かな研究者が、各国や地域の文脈を踏まえて、急激に変化する高等教育の現状と多様な課題を取り上げました。特に焦点が置かれたのは、高齢化社会における教育のあり方や、昨今の欧州地域の現状を中心とした移民・難民政策で、公衆衛生や人道に関する側面を鑑みた高等教育の役割や課題も議論が行われました。

RIHEから参加した四名の発表は、「縮小する高等教育システムにおける大学ガバナンス（University Governance in Shrinking Higher Education System）」と題し、高齢化社会を背景に縮小する日本の高等教育システムにおいて注目の集まる、大学のガバナンス改革に関する実証研究の結果と分析を発表しました。発表会場には、特に多くの研究者が集まり、質疑応答においても活発な質問、議論が行われ、世界的に大学のガバナンスというテーマや実証研究に寄せられる関心が高いことが伺われました。

最終日のセッションは、アイルランド最古の大学であるトリニティーカレッジ・ダブリンに会場を移し、来年度のHERを主催する大役を担っている本センターの教員が、RIHE及び広島大学の研究・教育活動についての紹介を行い、参加者から高い関心を寄せられました。また、特に広島という地での開催ということで、文化的・歴史的な側面に対しても興味を持つ参加者も多く、来年度のRIHEでのHER開催への期待の高さが感じられました。

ワークショップ終了後には、トリニティーカレッジの現地スタッフによる大学図書館への案内がありました。このトリニティーカレッジ図書館には、約500万冊の書籍とケルズの書が所蔵されています。案内の中で、貴重な古書の修復作業を行っている図書館スタッフから、その歴史や修復作業についての説明を受け、アイルランドの大学史の一端を垣間見ることができました。13^th HERの詳細については、大会校のウェブサイト（https://www.dcu.ie/herc/her.shtml）をご覧下さい。

2017年度にRIHEで開催を予定している14th HER についての情報は、まもなくRIHEのホームページに掲載される予定です。

 

(2016/9/26) RIHEのホームページで 14th HER のウェブサイトを公開しました。