お祝いコメント/朴澤先生

国立教育政策研究所・高等教育研究部 総括研究官
朴澤 泰男

 

広島大学高等教育研究開発センター創立50周年へのお祝いメッセージ

朴澤 泰男 (国立教育政策研究所 高等教育研究部 総括研究官)

 

センター創立50周年、誠におめでとうございます。

 私たちの世代は「大綱化後の学生」とでも言いますか、入学してみると様々な面で大学改革がすでに進みつつあり、『知の技法』刊行、

大学院重点化、大学教員任期制の導入などが起きていました。また高等教育研究の制度化も、かなり進んでいた時期に当たると思います。

それでも、教育学全体としては「大学問題」を研究することが、少しはばかられるような雰囲気も、まだ残っていたように記憶しています。

 

 そうした中にあって、センターの刊行物、特に1980~90年代の『大学論集』を学部生や修士の院生時代に、熱心にコピーしては拝見して

いました。また、紙媒体の『高等教育統計データ集』も大変貴重な資料で、よく利用させていただきました。これらがウェブサイト上に公開

されたのも、比較的早い時期だったと思います。一橋大学在職時には、全学FDシンポジウムなどの案内をよく掲載していただき、大変助けて

いただきました。

 

以上のように、どちらかと言えば「一般ユーザー」のような形で大変恩恵を受けた者にとっても(むしろそういった人にこそ)、昔も今も

センターは大きな公共的役割を果たしておられ、高等教育研究になくてはならない存在に他なりません。また、この4年間は客員研究員として

お世話になり、どうしても目の前の研究業務のみに集中しがちなところを、貴重な研究交流の機会を与えていただきました。

 

 どうかこれからも、日本を代表する高等教育研究の拠点として、センターのますますのご発展をお祈り申し上げます。「広島でしか見えぬ

ものがある」とすれば(センターは昔も今も脚光の当たる存在ですが)、東京の大学や研究所の行う調査・研究には、特有の関心が内在する

ことは避けられない中、教育・研究の現場に根ざし、学生や教員の視野から見える高等教育の実情を捉えるような研究が、さらに盛んになる

ことを願っています。

 

東広島に(ほぼ)オンキャンパスで最も長く滞在させていただいたのは、大学院を単位修得退学した後の文書館訪問です。一週間足らずの

間に、当時のセンターの研究員や大学院生の方々とも交流させていただき、また、大変お世話になりました。いずれまた、少し余裕をもって

再訪させていただく機会を楽しみにしております。