渡邉教授、佐藤准教授、村澤准教授執筆論文の掲載について

Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on Twitter

RIHE教員による論文『日本の高等教育のグローバル化における政策的誘導』が、Oxford Research Encyclopedia of Educationで掲載されました。

Authours: Satoshi P. Watanabe, Machi Sato, and Masataka Murasawa
      (渡邉聡教授、佐藤万知准教授、村澤昌崇准教授)
Subject: Education, Change, and Development, Educational Politics and Policy, Globalization, Economics, and Education, Educational History
Online Publication Date: Feb 2018 DOI: 10.1093/acrefore/9780190264093.013.208

 

概要(日本語版)
 
本稿は戦後から現在に至るまでの国際化,グローバル化に関する政策について,その目的,設定されている課題がいかに変容しているのかを概観する。その上で,大学がいかにして,加速する国際化あるいはグローバル化への政策的誘導に対応しているのか,その結果どのような課題がうまれているのか,という点について論じるものである。
 
戦後初期の日本の国際化の目的は、国家間の学生交流と相互理解を促進することにあった。その後、1970年代にはODAの受給国から提供国となり,発展途上国からの留学生を積極的に受け入れるなどを通じて,国際社会における責任ある地位を築くこととなった。
しかし、1990年代半ば以降、日本の景気が長期停滞期に入ったことに伴い、国家の目標は、国の国際化を促進するだけでなく、研究開発への公的投資を通じて、失われた国際競争力を取り戻そうとするための決死とも言える試みへと転換した。
ここ10年ほど世界レベルでの大学のランキングが国際的に普及したため、グローバル化が進行し競争が激化した高等教育の環境変化に対応するために、政府の高等教育政策は、世界レベルの大学ランキングの上位に日本の大学が入るための諸施策を展開した。
 
しかし,その多くが英語を必要とする取り組み,すなわち英語学位プログラムの設置や英語による授業科目の設定,英語による研究成果の発信等,であったため,大学では,出島的に対応がされることとなり,組織的変容に結びつかないという新たな課題を生みだしている。また,世界レベルの大学ランキングにおいて評価を高めることと、教育その他事業に関する不平等とも言える大学間格差が発生していることとの間のバランスをとることが求められるが、残念ながら現在の日本における高等教育に関する議論や、政府による国際化への急激な対応には、そうした「卓越性」と「格差・不平等」の調整感覚が欠けているようだ。
 
このような短期的な急ごしらえの政策は、日本の大学を教育、研究面で強化し、世界的に競争力ある卒業生を輩出する機関にならしめる可能性を秘めてはいる。しかし、長期的な計画の徹底、政策の包括的影響力の把握、長期的な目標の明確化こそが、大学を成功へと導く上で極めて重要である。
 
Keywords: Japanese higher education, globalization/internationalization, state initiatives, foreign student policy, student mobility, world university ranking, new flagship university
 

URL:
http://education.oxfordre.com/view/10.1093/acrefore/9780190264093.001.0001/acrefore-9780190264093-e-208

https://www.researchgate.net/publication/323485479_State_Initiatives_on_Globalizing_Higher_Education_in_Japan